契約社員はデメリットしかない？向いている人や正社員との差を紹介

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厚生労働省「非正規雇用」の現状と課題のデータから、非正規雇用の労働者は増加傾向にあり、2004年に全労働者の3割を上回る様になって以来、高い割合を推移しています。

2022年の最新のデータによると、全体のうち非正規労働者は36．9％と約3人に1人の割合です。

非正規労働者の中でもプライベートな時間を確保しながら、正社員に近い待遇を受けられる人気が高い働き方として、契約社員が挙げられます。

しかし、正規雇用に比べて賃金が低く、契約によっては仕事を失うデメリットもあるためデメリットも存在します。

契約社員を検討している人や、これからのキャリアを考えている人は参考にしてください。

契約社員とは

契約社員とは、会社と有期労働契約を結んで働く社員を指します。

定められた期間を迎える場合の選択肢は、契約を更新するか、更新せずに退職するかの2択です。

契約更新の有無は会社と労働者の双方のやり取りや勤務態度、業績などで左右されます。

契約社員といわれる人たちなどにみられるように、正社員と違って、労働契約にあらかじめ雇用期間が定められている場合があります。このような期間の定めのある労働契約は、労働者と使用者の合意により契約期間を定めたものであり、契約期間の満了によって労働契約は自動的に終了することとなります。1回当たりの契約期間の上限は一定の場合を除いて3年です。

引用：厚生労働省

一般的な期間の定めがなく、長期的なスキルアップや成長を視野に入れている正社員とは異なり、プロジェクトや季節性、必要とされるスキルなどを目的に採用されることが多く見られます。

契約社員と正社員の差

	契約社員	正社員
雇用期間	定めあり	定めなし
雇用主との関係	直接雇用	直接雇用
給与やボーナス	ない場合が多い	ある場合が多い

契約社員と正社員の大きな違いは契約期間の定めの有無ですが、その他にもいくつか異なる点があります。

雇われて働く上で重要となる給与やボーナスなども、正社員と比べると大きな差があるのです。

雇用形態の違い

一番の違いは雇用形態の違いといえるでしょう。

契約社員は1年や2年など（最長で3年）定められた期間で一旦雇用契約は終了します。

終了のタイミングで更新の有無が決まりますが、業績や勤務態度、仕事の成果なども関係することに加え、労働者と企業の双方の合意が必要になります。

一方正社員の場合は正規雇用労働者のため、期間の定めがない無期雇用の労働契約が交わされています。

法律でしっかりと守られているため、雇用主によるやむを得ない解雇や自己都合退職など何かしら特別な事情がない限り、継続して働けるのがメリットです。

給与やボーナスの違い

契約社員の給与は、通常時間給や日給で定められています。

正社員に準じて月給で設定されている場合もありますが、正社員と同様のボーナスはないことがほとんどです。

ボーナスはない、もしくはあったとしても雀の涙ほどといえます。

一方、正社員は基本給とは別に勤務年数や役職に応じた給与が企業から支払われます。

定期的なボーナスがある場合がほとんどであり、業績によっては昇給もあるため、正社員として働く上でのモチベーションにつながるといえるでしょう。

補足「契約社員5年ルール」とは

契約社員5年ルールとは、一般的に「無期転換ルール」と呼ばれるものです。

有期労働契約が通算で5年を超える場合には、労働者の申し出によって期間の定めがない労働契約に転換できるルールを指します。

このルールは、労働契約法改正によって2013年から施行された比較的新しい制度です。

労働者のキャリア形成を後押しし、安心して働き続けることができる社会の実現を目的としています。

同一の雇用主と5年以上の契約を続けた契約社員の場合、契約社員側から無期雇用を申し出ることが可能であり、申し出を受けた雇用主は拒否することができません。

契約社員5年ルールで多くの人が勘違いしやすいポイントは以下のとおりです。

無期限雇用に切り替わることは正社員になることではありません。

自分の将来を含めたキャリアや雇い止めのリスク、労働条件なども考慮すべきです。

契約社員のデメリット

契約社員は、契約で労働期間や業務内容が細かく定められているからこそ受け入れなければならないデメリットがあるのです。

契約解除の可能性や給与UPや昇級のチャンスの少なさ、社会的信用の低さなどが挙げられますが、なぜ契約社員としてのデメリットが生まれてしまうのか、以下では原因を含めて解説します。

契約解除の可能性がある

契約社員は有期雇用、つまり契約で労働期間に限りがあるスタイルのため、場合によっては契約が解除される恐れがあります。

上記のようなさまざまな理由で契約が更新されず仕事を辞めざるを得ない状況になるといえます。

正社員の場合、法律や企業にしっかりと守られているため、多少の業績悪化や成果に問題があったとしても簡単に辞めされられません。

しかし、契約社員の場合、正社員と比べるとどうしても立場が弱く、先に契約を切られてしまうといえます。

働く上での立場が不安定であり、長く働きたいと考えている人の場合は契約解除のリスクに怯えながら仕事をすることになってしまいます。

給与・ボーナスが少ない

契約社員の場合、正社員と比べると給与やボーナスは少ない傾向にあります。

厚生労働省「非正規雇用」の現状と課題からも明らかですが、時給ベースで見ていくと正社員の一般労働者の平均賃金が1,976円に対し、短時間ではない一般労働者（非正規労働者）の場合1,375円です。

2020年から「パートタイム・有期雇用労働法」が適用されたことで、給与格差をなくす動きはありますが、現状不十分といえます。

スキルや専門知識の量、待遇の差などさまざまな要因で正社員よりも給与水準やボーナス支給額が低いのが現状です。

令和3年有期労働契約に関する実態調査（個人調査）でも、契約社員の65.3%が正社員と比較して基本給が低いと答えています。

給与やボーナスが少ないと、生活のさまざまな場面で我慢を必要とする、欲しいものが手に入らず不便を感じるといったことも起こり得るのです。

給与・ボーナスの額は生活の質をも左右するといってもいいでしょう。

昇給・昇進の可能性が低い

契約社員は正社員と比べると昇進や昇給の機会が限られていることがいえます。

契約社員は働く期間が限定されています。

さらに、仕事内容によっては短期間で辞めることも考慮されているため、専門的な仕事は任せられないことがほとんどです。

そのため、スキルや専門性の点で正社員より低いとされ昇給や昇進の機会も限られてしまいます。

仕事でどんどん稼ぎたい、スキルアップをして仕事の幅を広げて昇進していきたいハングリー精神が強い人は不向きといえます。

社会的信用が低い

契約社員は非正規労働者のため、正社員のように雇用・収入の安定や保証がありません。

非正規労働者であることから、収入が途切れる可能性や契約解除になることを懸念されることが多々あります。

ローンやクレジットカードの契約など、社会的信用が問われる場面もあるでしょう。

しかし、審査が必要な場面では社会的信用の低さから契約をお断りされる場合があるのです。

住宅購入時の借入額のデータによると、正社員の平均は2,388万円に対し、契約社員の場合は2,013万円と大きな差が生まれています。

参考：ARUHI「住宅ローン【フラット３５】の利用者を職業別に分析」

ライフプランでマイホームの購入を検討している、車をローン契約で手に入れたいと考えている人の場合、不利になってしまうといえるでしょう。

福利厚生などの待遇が良くない

契約社員は正社員と比べると福利厚生が劣ってしまうのは否めません。

正社員と福利厚生で差が出てしまう内容としては以下のものが挙げられます。

企業の規模や福利厚生の手厚さに左右されるものの、正社員と完全に同じであることはほとんどありません。

正社員とは待遇の差が出てしまい、不公平感が否めなくなることもあるでしょう。

裁量権が大きい仕事を任されない

契約社員の場合、契約の期間が決まっている、辞める可能性もあるため、裁量権が大きな仕事は割り当てられないことがほとんどです。

正社員に比べるとスキルや経験で見劣りがするとみなされる場面が多くあるためです。

その結果、プロジェクトの主導的な役割や重要な意思決定をする立場に就く機会がほとんどありません。

そのため、将来的なキャリアアップやスキルアップのチャンスが少ないのです。

正社員と比べると成長の機会が限られてしまうといえます。

転職が不利になる

契約社員は労働契約期間が有限で、スキル形成のための環境や時間が限られていることから評価が不利になってしまう場合があります。

契約社員の場合、転職市場では以下のような評価をされることもあるのです。

契約社員でも実績や成果を残している人はいるものの、世間一般的な評価は低くなってしまう可能性はあります。

転職市場では経験者や正社員の人と比べると多少のハンデがある状態でスタートラインに立つ場合もあるでしょう。

採用難易度は正社員と同等

スキルや専門性などで正社員より低く見られがちな契約社員ですが、簡単で誰でもなれるということではありません。

企業は利益を求めて、成果を上げることを目的としている以上、その期待に応えられる人材を求めています。

労働契約の期間に定めがあると言えども、企業が直接働く社員として雇う以上、採用の基準はシビアです。

基準や求める社員像などは、正社員と大きな違いはありません。

成果を上げることを期待されている以上、企業側としては能力低くても採用するなどの妥協はあり得ないのです。

採用難易度は同等であるにも関わらず、立場や給与、スキル、福利厚生などは正社員と比べると劣ってしまう点はデメリットです。

気軽には辞められない

会社・労働者ともに契約を履行する義務が課せられているため、原則契約期間内の退職はできません。

もしも契約期間中に無理に退職した場合、会社から損害賠償を請求されることもなきにしもあらずです。

同じ非正規労働者のアルバイトやパートタイマーと比べると気軽には辞められないといえます。

転職活動や学習などでいい機会があったとしても、仕事を理由に諦めざるを得ない状況になることが考えられるでしょう。

契約社員を選ぶメリット

ここまでデメリットをいくつか挙げましたが、デメリットのみならずあえて契約社員を選択するメリットも存在します。

働き方や理想によっては契約社員が適している場合も多々ありますので、自分のライフプランや働き方などを考慮しながらメリットと照らし合わせてみてください。

プライベートの時間を確保した働き方ができる

契約社員は自分で労働条件を決められるため、プライベートの時間を確保した働き方ができます。

また、契約で労働時間や休暇などが厳格に定められているため、ライフプランに合わせた働き方が可能です。

正社員の場合、繁忙期など、残業や仕事以外の細かいタスクに追われ、プライベートの時間を犠牲にしなければならない場面もあります。

しかし、契約社員の場合、契約で定められた業務に限った働き方ができるため、プライベートの時間が確保しやすいのです。

異動や転勤がないため安定性がある

契約社員の場合、基本的には異動や転勤はありません。

正社員で条件に移動や転勤について記されていた場合、これらも視野に入れながらライフプランを立てる必要が出てくるでしょう。

一方で、契約社員で契約内容に異動や転勤の記載がない場合、企業側から命じられることはないのです。

移動や転勤がないことの安心感や生活スタイルの確立が可能であるため、子育てや介護など変わらない環境で安定した暮らしを送りたい人に適しています。

正社員雇用の可能性が高くなる

契約社員として勤務し、十分な業績を上げた場合正社員への道が開ける可能性があります。

実際の働きぶりや成果を見て正しくジャッジできるため、契約社員からの登用制度を用意している企業は少なくありません。

普段の勤務態度や仕事の成果などで認められれば正社員として働けるチャンスが巡ってくるでしょう。

一般的には難しいと言われている大企業に契約社員として入社し、正社員登用制度を活用する道もあるのです。

副業することが可能

正社員は二重契約に制限がある場合もありますが、契約社員は可能であることがほとんどです。

就業規則に反することがなければ複数の企業と雇用契約が結べます。

そのため、スキルアップや収入アップのために副業したいと考えている人におすすめです。

契約社員として働きながら副業することで、新たな知識やスキルが身につきます。

企業での仕事や将来転職した場合にも活かすことができるでしょう。

契約社員に向いている人

正社員にはない特徴や働き方のため向いていない人がいる一方で、働き方や生活スタイルによっては向いている人もいます。

契約社員に向いている人の特徴と理由は以下のとおりです。

決められた仕事だけをしたい

あれこれと仕事の幅を広げすぎることなく、与えられ決められたことだけを淡々とこなしたい人に向いています。

正社員の場合、スキルアップや将来の昇進なども視野に本来の業務以外にもあれこれ仕事が増えていきがちです。

しかし契約社員は契約で仕事の範囲などが明確に決められている以上、範囲外の業務を行うことは原則ありません。

仕事の範囲が明確であるため、役職などによる業務の大きな変化や職務上の負担は比較的軽くなるといえます。

すでに専門的なスキルや経験をもっている

すでに契約社員として入社する前の段階で専門的なスキルや経験を持っている人の場合、十分に活かせる土壌はあるといえます。

企業で働きながらスキルアップやキャリアアップをしていく目的を考慮せずに、既存の専門知識や唯一無二の経験を存分に活かして貢献できるため、柔軟な働き方が可能です。

「この企業での働きをキャリアアップのきっかけにしていきたい！」と考える人には適しませんが、すでにある知識や経験を活かして企業に貢献し、給与を得たいと考えている人におすすめです。

色々な職種での経験を積みたい

契約社員はさまざまな職種で求人が存在します。

仕事の内容や勤務地なども多種多様であるため、自分の希望する地で様々な経験を積むことが可能なところがメリットです。

正社員の場合、キャリア形成などの観点からさまざまな職種をあれこれ経験することは難しい側面があります。

一方契約社員の場合は雇用期間や契約が限られているため、自分で希望するものをピックアップして組み合わせていくことができるのです。

多様なスキルを組み合わせて、自分だけの力を身につけて将来に生かしたいと考えている人におすすめといえます。

仕事よりもプライベートの時間を確保したい

契約社員の場合、正社員よりも勤務時間や在宅ワークなどに柔軟であることが多々あります。

残業時間や勤務形態、仕事内容などが自分で選べるのみならず、企業としても比較的柔軟に対応できる範囲のため、正社員と比べるとゆとりをもった働き方が可能です。

自分の時間が仕事のみで埋め尽くされず、好きなことに充てる余裕もあるため、プライベートをより充実させることも可能といえます。

仕事も大事だが、プライベートの時間も同じかそれ以上に大切にしていきたいと考える人に適しています。

契約社員として働く際の注意点

契約社員として働く以上、デメリットは避けようがないところがあります。

契約社員として行っている業務はもちろんのこと、将来の仕事や生活も含めて考えなければなりません。

働く上で注意すべき点は以下のとおりです。

社会的信用が低くなる

期間に定めのある労働契約でいつ職を失うかわからないことから社会的信用は低くなりがちです。

雇用の保証がないため、ローン契約やクレジットカード契約、その他さまざまな審査で通らないといったことも起こり得るのです。

将来的な収入が不安であることから社会的な信用が低くなってしまうため、数十年先をも見据えたライフプランをいくつか考えておく必要があります。

契約更新の保証がないことを留意する

どれほど本人が望んでいようと、仕事ができていようと契約社員である以上、企業側の都合などで更新を行わないという選択をされてしまう可能性も否定できません。

企業の経営悪化などのピンチでは契約社員が真っ先にリストラ対象となることからもあります。

自分側の原因や理由の有無にかかわらず契約が更新されるか否かは企業の判断に左右される可能性が高いです。

そのため来的なキャリアプランにも影響を及ぼす恐れが大きくなります。

雇用の不安定さ、自分の力のみではどうにもならない部分が大きい点は契約社員である以上注意しなければなりません。

契約期間満了後のキャリアプランが必要

契約社員として働く以上、現状に甘んじて受け入れるのみでは危険といえます。

契約社員はいつ何時更新なしとされるか、雇用が不安定であるリスクがつきまといます。

キャリアプランを検討する際、狭い視野で考えてしまうとキャリアのつながりが維持できません。

そのため、一貫性のない状態になり、将来の仕事に影響が出てしまうこともあります。

契約社員として働くことで得られるスキルや経験をどのような形で活かして行きたいか、もしも他の仕事をする場合どのような雇用形態で働きたいかなど、広い視野でキャリアプランを考えなければなりません。

契約期間満了後のキャリアプランを考える上で押さえておきたいポイントは以下のとおりです。

正社員雇用制度があるか確認する

契約社員として採用された場合、将来の働き方の1つとして正社員登用制度があるかどうかを確認してください。

企業によっては制度も登用実績もあるところ、制度はあるものの登用実績が不十分なところなど千差万別です。

キャリアアップも視野に入れている、できる限り長く働き続けたいと考えている人は特に正社員登用制度について詳しく知り、利用できるように日々業務に励む必要があります。

労働条件通知書の内容を確認する

契約社員の場合、契約ありきの条件のため、労働条件通知書が全てといっても過言ではありません。

労働条件通知書に記載されている内容は以下のとおりです。

採用が決定された後に労働条件通知書が交付されますが、書かれている内容をよく確認し、理解する必要があります。

契約社員に不安を感じたら転職を検討

契約社員は有期雇用契約である以上、自分の意思に関わらずに更新されない、結果として職を失うリスクが高いといえます。

社会的信用の低さや将来を含めた生活の不安を感じた場合は転職を検討するべきです。

契約社員の業務の中で身につけた知識や経験を活かしながら効率よくキャリアアップを狙う場合は、転職エージェントの活用をおすすめします。

転職エージェントでは転職希望者の希望や考えを丁寧にヒアリングし、最適と思えるキャリアや転職先を考えるサポートを行うのがメリットです。

転職初心者や自信がない人もスムーズに転職できる可能性が広がるため、おすすめの手段といえます。

契約社員のデメリットに関するまとめ

契約社員は働き方や転勤の有無、労働時間やスタイルで柔軟な対応が見込めるなどメリットはあるものの、社会的な安定性や信用、職を失う危険などを考えるとデメリットも否めません。

働く期間が決まっているからこそ将来的なスキルやキャリア形成が難しい、転職で不利になってしまう場合もあります。

そのため、曖昧な理由で契約社員を選択するべきではありません。

しかし、ありたい姿やライフプラン、身につけたいスキルなどを十分に考慮し、その一歩として契約社員を選択するのは将来への近道として有効です。

努力によって契約社員の経験は自分のキャリアパスを描く手段、大きく羽ばたくための準備として進むべき道が開けるでしょう。