DTPオペレーターは、メディアに関係するクリエイティブ系の職業の1つといえますが、魅力がある一方でやめとけという声もあるようです。
この記事では、DTPオペレーターはやめとけと言われている理由から向いている人を紹介します。
DTPオペレーターやクリエイティブ系の職業に興味がある人は参考にしてください。
DTPオペレーターとは?
DTPとはDesk Top Publishingの略です。
デザイナーが作成したレイアウトを専用ソフトを使い、印刷できる形に整えてデータとして落とし込む仕事を指します。
以下では具体的な仕事内容や携われる領域、デザイナーとの違いについて解説します。
DTPオペレーターの主な仕事内容
- 印刷会社やデザイン事務所などでデザイナーが作成したレイアウトをもとに印刷用のデータを作成
- Adobe系のソフトやDTPオペレーター用ソフトを活用して仕事を行う
- フォーマット作成やデーター入力を通じて、入稿できる状態まで整える仕事
- クライアントの要望、DTPデザインのルール、作品を見た人の感じ方など考慮しながら仕事を遂行する
DTPオペレーターは印刷物として完成させるためになくてはならない仕事を担います。
作成されたレイアウトをもとに、印刷するためのデータをAdobe系ソフトを活用、入稿できる状態に整える仕事です。
適切なデータを作成する能力やソフトを使いこなすスキル、ルールに則って行う正確さが求められる仕事といえるでしょう。
DTPオペレーターとデザイナーの違い
DTPオペレーターとデザイナーは担当する仕事そのものが異なります。
0から何かを作り上げるクリエイティブ性はデザイナーの方が高いですが、縁の下の力持ちとして適切な状態に整え世に送り出すことができるのはDTPオペレーターならではです。
場合によっては、デザインデータの落とし込み以外にもデザイン業も兼務していることがあります。
企業規模や内容にもよりますが、利用できるソフトや対応できる仕事の幅は多い方が可能性は広がるでしょう。
DTPオペレーターはやめとけと言われている理由
DTPオペレーターの仕事の特性などから、辞めておくべきと考える人もいます。
あまりおすすめしないと考える人の主な理由は以下のとおりです。
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衰退業界であるため将来性に不安が残る
衰退業界であるという見方がされていることから、将来への不安があるといえます。
デジタル化の加速や感染症拡大などによって印刷業界全体が企業規模が縮小傾向にあります。
大手クラスの印刷企業においても、2020年4~5月は、単月売上高が30~50%減とマイナス影響を受けていることからも明らかです。
参考:株式会社矢野経済研究所
それに伴い、人員削減も加速していることから将来の見通しで不安要素が付きまとうと考えられるのです。
激務になりがちで残業が多い
印刷業界の性質上、仕事量は常に一定ではありません。
仕事量の増減が激しく、多い時は手に負えないほど仕事量が増える場合もあります。
仕事である以上納期まで間に合わせるために残業の必要があることを考えると、激務になりやすいといえます。
給与が安い傾向にある
存続が厳しい業界であるため、給与も高いとはいえません。
また外部に委託しやすい仕事内容であるのが特徴です。
外部のスキルを持った人に仕事依頼をする仕組みが多様化してきたことから、アウトソーシングも盛んに行われるようになっています。
「会社に勤める正社員でなければならない仕事」とはいえなくなりつつあるのです。
そのため、正社員としての給与も上がらないのです。
高給を目指す人や生活がかかっている人には不向きな仕事といえます。
印刷オペレーターも担当する可能性がある
印刷業界は傾斜ぎみであることも関係し、事業規模も縮小傾向です。
そのため、少ない人数の社員でやりくりする会社の場合、印刷機の操縦をする印刷オペレーターも担当する可能性もあります。
印刷機械の操作やセット、インク調整や位置確認などを担う印刷オペレーターの業務とは分けられるものですが、兼務することでそのギャップに直面することもあるのです。
向き・不向きが顕著に出る
DTPオペレーターの仕事は、向いている人にとっては取り組みやすい仕事といえます。
しかし、向いていない人の場合は仕事のギャップで苦痛が生じる場合もあるのです。
DTPオペレーターはデザイナーによって入稿されたデータを印刷できる状態にする仕事です。
自ら考え、0から新たなものを生み出していきたい人には向いていない仕事といえます。
さらに、DTPオペレーターは地道な作業の繰り返しとしての一面もあるので、コツコツ型のデスクワークが苦手な人には向きません。
向き不向きが顕著に現れる仕事です。
そのため、向いていない人がDTPオペレーターの仕事をした場合、日々ストレスが溜まるでしょう。
DTPオペレーターに向いている人
DTPオペレーターは向き不向きが顕著な仕事ですが、向いている人にとっては自分の力を最大限に活かせる天職ともいえます。
DTPオペレーターが向いている人の特徴は以下のとおりです。
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Adobe系のソフトが使用できる
DTPオペレーターはクリエイターが作ったものを印刷できる形に整えることを主な仕事としているため、デザインに関するソフトを使いこなせることがほとんどです。
DTPオペレーターとしてIllustratorやPhotoshopなどのAdobe系のクリエイティブソフトを使用するうちに、自由自在に扱えるようになります。
Adobe系のソフトはDTPオペレーターに限らず芸術やクリエイティブの分野で幅広く活躍しているため、仕事の幅が広がるでしょう。
組版技術について知識がある
組版作業は指定されたように文字や図などを配置していく作業ですが、目にする人のために読みやすさや見やすさを押さえたものにする必要があります。
組版の技術があることで、知識の幅が広がり他の仕事や趣味などに応用できるようになるのです。
一見すると仕事でしか活用しないものであっても、基礎の部分で利用できる場面が多々あるといえます。
地道な作業とデスクワークが好き
DTPオペレーターの仕事は印刷物が適切に出来上がるよう作品に向き合う仕事であり、地道な作業の繰り返しです。
そのため、0からオリジナリティあふれる作品を作る、クリエイティブな仕事がしたい人には向いていません。
コツコツと地味なことに向き合う根気強さを持ち合わせた、デスクワークが苦にならない人が向いています。
ルーチンワークが得意
DTPオペレーターの仕事はいわゆるルーチンワークです。
決められた作業を手順通りに正確に進めていくことが仕事の基本といえます。
決められた作業を淡々とこなすことを苦に感じず、スピードを保ちながら正確にこなすことが求められるのです。
ルーチンワークで雑念が生まれてしまう、つい調子が狂うと感じる人には向いていませんが、反対に得意とする人には天職といえます。
デザイン職に就く意向がある
DTPオペレーターとしての経験を活かしてスキルアップやスキルチェンジをしていきたいと考える人に適しています。
ひな形の作成、原稿データの流し込みやレイアウトの修正、校正・修正作業を経て納品データまで完成させる「クリエイティブ系職種の入門」といえます。
DTPオペレーターはデザイナーが作成したものを印刷用のデータに落とし込む作業が仕事であり、知識や経験はグラフィックデザインの分野などで応用がきくものです。
DTPオペレーターという仕事のやりがい
上記ではDTPオペレーターとしての仕事のデメリットやおすすめしない人の意見も紹介しました。
しかし、向いている人ややりたいことがある人にとっては大きなやりがいを感じられる仕事です。
DTPオペレーターの仕事をしているからこそ感じられるやりがいは以下のとおりです。
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多くの人が見る制作物に関われる
自分が関係した仕事で作り上げた印刷物が世の中に出ることで、多くの人が目にするといえます。
世の中に出て多くの人が目にすることで、誰かに影響を与えられた喜びを感じる場面もあるでしょう。
また、作り出したものを見た人からの好意的なリアクションでモチベーションが上がるものです。
縁の下の力持ちとしてクリエイティブの世界で作品を作り、誰かの目に留まる喜びが味わえるのはDTPオペレーターならではです。
技術的なスキルを磨くことができる
DTPオペレーターとして働くことで、スキルが身につくのがメリットです。
DTPオペレーターとして作業するうちに、DTPソフトはもちろんIllustratorやPhotoshopなどのAdobe系のソフトが使えるようになります。
ソフトの使用スキル以外にも、グラフィックデザインの基本的な知識・経験が身につくため汎用性が高いスキルが身につくのです。
DTPオペレーターとして技術やスキルを磨きスキルアップするのもいいですが、他の仕事にキャリアチェンジする際もスムーズにできるメリットがあります。
将来的なキャリアとしてクリエイティブ職の選択肢がある
DTPオペレーターの知識や経験、スキルを活かしてクリエイティブ職に転職できる可能性が高い点がメリットです。
Adobe系ソフトは他のデザイン職でも大活躍しているため、仕事の選択の幅やスキルアップの可能性が広がるといえます。
0からキャリアやスキルを身につける人と比べると、選択肢が広く多様な仕事に携われるチャンスが転がっているところがDTPオペレーターとしての喜びといえます。
できる仕事や対応可能な技術・ソフトが増えることで仕事の選択肢、ひいては人生の選択肢が広がるのです。
DTPオペレーターのキャリアアップ
DTPオペレーターとして働いた先に何があるのか気になる人も多いでしょう。
DTPオペレーターの知識や経験を活かせる職業について、実際に活かせる場面やスキルを解説します。
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グラフィックデザイナー
グラフィックデザイナーとは出版物やWebサイトデザインを行う仕事であり、DTPオペレーターとの共通点も多々あります。
仕事内容はもちろん使用するソフトも同じものであるケースが多いため、キャリアチェンジが容易であるのが特徴です。
DTPオペレーターと比べると0からデザインを作っている部分が大きく異なり、クリエイティブの度合いは大きいといえます。
自分自身のセンスを活かしたい、0から生み出したいと考える人におすすめです。
WEBデザイナー
WebデザイナーはWebサイトのレイアウトやデザインを行う仕事です。
仕事の舞台はWebであるところが大きな違いといえます。
異なるプラットフォームですが、DTPオペレーターで培ったレイアウト技術や使用ソフトの扱いはWebデザイナーでも十分に活かせる点がポイントです。
また、メディアの拡大でWeb上のホームページや記事など仕事が多様化しているため、これから技術を身につけておいて損はありません。
レイアウトや仕事の活動の幅を広げたい、新たな技術も身につけていきたいと考える人に適しています。
管理職
管理職として、「作業を行う人を取りまとめる立場」にキャリアアップする道もあります。
クリエイターを束ね、チームとして1つの仕事を遂行するために技術はもちろんのことマネジメントや管理の能力が問われます。
管理職に必要なマネジメントスキルを身につけた場合、他の仕事やキャリアに応用が効く、収入アップにつながるなどのメリットも多々あるのがポイントです。
管理職としてディレクションするためには、DTPオペレーターとして十分な知識や経験が必要となります。
そのため、長い目で見てスキルアップを図る必要があります。
DTPオペレーターはやめとけと言われている理由まとめ
- DTPオペレーターは縁の下の力持ちとして印刷業界を支えている仕事
- 地道かつ正確性が求められるため、コツコツ型のデスクワークが苦にならない人が向いている
- スキルアップや経験を重ねることで、キャリアチェンジやキャリアアップも可能
DTPオペレーターは傾斜傾向の業界における仕事であること、そして将来への不安や給与の面からやめておけと考える人もいます。
しかし、使えるソフトが増える、仕事の幅やキャリアを重ねることで着実にスキルアップへの道が開ける仕事です。
デスクワークが苦にならない、コツコツ型のルーチンワークが得意な人に向いているといえます。
今後のキャリアアップへの道が開ける可能性も秘めていることから、興味がある人はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。