接する距離が近すぎるとハラスメントと受け取られ、反対に、距離を取りすぎてもチームワークが崩れる心配があるかもしれません。
ハラスメントを恐れて、正しい注意の仕方がわからない、そんなあなたのために、先輩としてのあるべき姿と、職場での健全なコミュニケーションの方法を探っていきます。
この記事を読むことで、ハラスメントとは何か、何がアウトか基準を知ることで適度な距離感をとって仕事ができるようになるでしょう。
訴えられるのが怖い！ハラスメントの定義は？
【ハラスメントとは】
ハラスメントは、他人を苦しめる行動や言葉の全てを指します。
自分が良かれと思って行なった行為でも相手が迷惑に感じれば、ハラスメントに該当する可能性があります。
ハラスメントは、パワハラやマタハラといった一般的な形態から、スメハラやエアハラなどの特殊な形態に至るまで、多岐にわたります。
広範な定義が定着する一方で、職場のどの行為がハラスメントにあたるかという判断を難しくしているのです。
その結果、職場や日常生活における人間関係やコミュニケーションを複雑にしている背景があるでしょう。
この問題に対処するためには、ハラスメントに関する幅広い理解と、それに対する適切な対応策が必要です。
ハラスメントが怖い！接し方がわからない人たち
ここでは実際の声を参考にしています。
上司の立場の人が何気なく発した一言でも、部下側からしてみれば納得いかないことが多い印象ですね。
次の章ではなぜそうなるのかの原因を深掘りしていきます。
ハラスメントと言われる原因
ここでは、上司と部下の日常会話に近い何気ない会話でもハラスメントと言われる原因を探ります。
その理由は主に2つです。
一つずつ解説をしていきますね。
意識や感覚の違い
ハラスメントに関する認識には個人差があり、世代、性別、文化的背景などが影響しています。
これらの違いを理解し、個人を尊重することが、ハラスメントへの適切な対応には不可欠でしょう。
たとえば、自分よりひとまわり下の年代の若者とあなたとでは使用する言葉や態度一つとっても不適切と感じるポイントが違うことがあります。
良かれと思って使ったジョークなどが全く通じないこともあるでしょう。
その一方で、あなた側も若者の今の価値観を理解する歩み寄りが必要になります。
働く環境
職場の環境や文化、とくに上司の性格や管理スタイルは、ハラスメントの発生に大きく影響を与える要因です。
職場での健全なコミュニケーションと環境作りが、ハラスメントを防ぐ上で重要です。
たとえば、職場が閉鎖的で競争が激しい環境では、ストレスの高まりや摩擦を起こりやすく、上司からのハラスメントが起きやすい状況といえます。
また権威主義的、あるいは放任主義的などちらかに偏った管理スタイルは、職場での不公平感や不信感を生み出し、ハラスメントの事例が生じやすくなるでしょう。
本当のハラスメント加害者にならないために
ここでは、あなた自身がハラスメントの加害者にならないように必要な知識や行動を伝えていきます。
大事なポイントは以下の5つです。
それぞれ1つずつ解説していきます。
ハラスメントの正しい知識を身につける
例として、パワーハラスメントの3つの条件を確認しましょう。
【パワーハラスメントの3つの要件】
- 優越的な関係に基づいて（優位性を背景に）行われること
- 業務の適正な範囲を超えて行われること
- 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
上の3要件がそろってはじめてハラスメントと定義されます。
「パワーハラスメント＝相手が嫌がったら全てパワーハラスメント」は誤解です。
職場の優位性や業務の範囲を超えた言動を起こしてしまったケースで、相手へ苦痛を与えたときに該当するケースがあります。
伝えるべき言葉が業務の範囲内でかつ適切な言葉を用いていれば、パワハラとなる可能性は低いでしょう。
大切な人に置き換えて想像する
部下を大切な人に置き換えて想像することで、自分の行動がどのように受け取られる可能性があるかを考えることが重要です。
そうすることで、部下の立場をより深く理解し、ハラスメントの未然防止に努めることができるでしょう。
たとえば、部下に対して行なった行動や叱責を、大切な人に対しても変わらずに行えるでしょうか？
大切な人に置き換えながらイメージすることで、あなたの行動が適切かどうかを見直す良い機会になるでしょう。
適切な距離感・コミュニケーションをとる
職場での適切な距離感とコミュニケーションを保つことは、ハラスメントのリスクを減少させる効果があります。
また、ビジネスライクな風土を維持していくことによって、より良いチームワークの関係性チームワークを促進することができるでしょう。
なぜなら、適切な距離感を保つことで個人のプライバシーや境界を尊重することにつながるからです。
結果として、無意識のうちにハラスメントとなり得る行動を避けることができるからです。
業務外の個人的な質問などは極力避け、業務のフィードバックや指導を行う際には明確で建設的な言葉遣いを使用することが重要です。
そうすることで、相互の尊重と理解が深まり、社員間で安心して働ける環境を構築することができるでしょう。
相談窓口を把握する
あなたがハラスメント加害者にならないため、または職場でのハラスメント問題に適切に対応するためには、相談窓口の存在を知っておく必要があります。
さらに、必要な場合に備えて客観的な記録を保持することも重要です。
理由は、相談窓口が明確であれば、問題が発生した際にすぐに適切な支援を求めることができるからです。
例として、従業員が上司からの不適切な指導に悩んでいたとします。
この従業員が事前に相談窓口を知り、発言の日時や内容を記録していたならば、相談時にこれらの情報を提供できるはずです。
提出物が証拠となり、問題の早期解決につながる可能性が高まります。
したがって、ハラスメントへの適切な対応のためにも、普段から相談窓口を把握しておくことが重要です。
風通しのいい職場づくりを目指す
風通しの良い職場の構築と、ハラスメント知識の継続的な更新は、ハラスメントの加害者にならないためにも重要です。
風通しの良い職場では、従業員が自由に意見を交わしながら懸念事項を共有できるため、問題が早期に解決される場合が多いです。
また、正しいハラスメントの知識と対処法についての継続的な学習は、無知による誤った行動を防くことができるでしょう。
したがって、風通しの良い職場の構築と自身の知識のアップデートは誰にとっても働きやすい職場づくりをするうえで不可欠です。
ハラスメント防止のために絶対してはいけないこと
つぎに、ハラスメントを防止するために絶対してはいけないことを伝えていきます。
大事なポイントは以下の3つです。
それぞれ1つずつ解説していきます。
加害者への同調
ハラスメント防止において絶対にしてはいけないことの一つが、加害者への同調です。
以下のような加害者への同調は、職場内のハラスメント行為を悪化させる原因になります。
- 「課長もあなたのためを思って言っているんだから。もっと頑張らないと」
- 「悪気があったわけじゃないから、水に流してやれよ」
- 「これは愛の鞭だ！ありがたく思わなくちゃ」
なぜなら、ハラスメント行為を正当化し、職場内の不健全な文化を助長する恐れがあるからです。
安心と安全な環境を確保するために、加害者への不必要な同調は避けるべきでしょう。
被害者を理由もなく責める
被害者を理由もなく責めることは、ハラスメント防止の努力を妨げ、被害者の精神的苦痛を増大させるため避けるべき行為といえるでしょう。
たとえば、パワーハラスメントに遭遇した従業員が、上司の不当な扱いについて訴えたとします。
そのとき、同僚や他の上司から「もっと強くあるべきだった」と説教されることがあります。
このような場合、被害者はさらに大きな心理的ダメージを受け、問題解決への一歩を踏み出しにくくなる状況になるでしょう。
したがって、ハラスメント被害者を理由もなく責めることは、被害者の心理的ダメージを深刻化させることになります。
- 「あなたがマイナス思考だから、そう感じるだけよ」
- 「物は考えようだから、気を強く持ちなさい」
- 「あなたにも言われるような原因があったはずよ」
上記のような不用意な発言によって、職場全体のハラスメントの問題解決の障壁がさらに厚くなるでしょう。
当事者の意見を聞かずに行動
ハラスメント防止の取り組みにおいて、当事者の意見を聞かずに一方的な行動を取ることは避けるべきです。
なぜなら、当事者にしか理解できない状況や感情が存在するからです。
彼らの視点を尊重し十分に理解することが問題解決のポイントになります。
当事者の意見を聞かない一方的な善意の行動は、意図せず当事者に二次的なストレスや苦痛を与えるリスクがあり、問題の悪化につながることもあります。
したがって、問題を適切に解決するためには当事者の声に耳を傾け、信頼関係を築きながら対応することが不可欠になるでしょう。
まとめ
今回の記事では、「ハラスメントが怖くて注意ができない問題」について解説しました。
内容は以下のとおりです。
- ハラスメント防止のためには、適切なコミュニケーションと距離感が必要。
- ハラスメントの認識と防止には正しい知識が重要。
- 従業員の個人差を理解し、職場環境を考慮することが必要。
- 加害者への同調や被害者への無理由な責任追及は避ける。
ハラスメントは、適切な対応をすることで避けることができます。
ですので、ハラスメントと言われることを過剰に恐れる必要はありません。
その上で、自分のできることとして、従業員間の価値観を共有、また、必要な知識のアップデートをすることで防げることができるでしょう。
ハラスメントをなくし適切な人間関係を築いていくことで、会社の生産性をあげていきたいですね。