WEBデザイナーに対して「やめとけ」という言葉が頻繁に使われる理由は、多くの場合、誤解や先入観に基づいたものです。
しかし、一方で、WEBデザイナーには、他の職種にはない独特の課題が存在し、そのために仕事が難しいという事実もあります。
この記事ではどんな理由で「やめとけ」と言われてしまうのかや、下記の項目について紹介していきます。
「WEBデザイナーは止めとけ」と言われる理由
WEBデザイナーに対して「やめとけ」という言葉がかかれる理由は様々あります。
例えば、「年収が低い」「残業が多い」「下積み期間が長い」「年収が上がりにくい」などのイメージがあります。
仕事柄、納期に追われるケースが多いため、健康被害を生じる可能性が高いです。
また、流行りの移り変わりが顕著なので常にトレンドをキャッチし続けなければなりません。
さらに、クラウドワークスやココナラなどのサービスの登場により、参入のハードルが低くなったため競争率が高いなどの理由もあります。
この章ではWEBデザイナーに対する誤ったイメージを払拭するため、これらの理由について詳しく解説します。
年収が低い
WEBデザイナーの平均年収は、dodaの調査によると「361万円」と全職種の平均「403万円」に対して低い水準です。
これは、専門的なソフトや知識が必要であるにもかかわらず、若い世代が大半を占めているため、全体の平均年収額に反映されていることが考えられます。
また、新入社員の場合は、作業的な業務を担当することが多く、歩合制度がほとんどないため、個人の努力だけでは年収アップが難しい場合もあるでしょう。
業界的に残業が多い
「WEBデザイナーは残業が多い」というのは業界内でよく言われています。
主に下請けのデザイン制作会社においては、残業が当たり前という文化が根付いているところも少なくありません。
特に納期が短い案件や急ぎの仕事は、どうしても残業が必要となります。また、複数の会社が絡むような案件だと確認待ちの状態も発生するため、残業になるケースもあります。
さらに、クライアントから唐突な修正を要求されたり、クライアント至上主義なところもあるため、残業が多くなってしまうことも否めません。
このような状況から、WEBデザイナーの業界は残業が多いと言われています。
下積みの期間が長い
「WEBデザイナーの下積み期間が長い」という現実があるため、初期の収入が低くなることが多い場合があります。
経験の浅いころはデザイン業務というより、雑用的な作業が多く、経験が積みづらいです。
スキルアップや実績を積むためには、長年勤めるか、チャンスがきたプロジェクトで成功させることが重要です。
そのため、収入を増やすためには、デザイナーよりも上位のポジションを目指す必要があるでしょう。
さらにディレクターになるには、マネジメントスキルやクライアントとのコミュニケーション力、プロジェクト全体を見渡す視野などが必要です。
キャリアアップを目指すことが、より高い収入やスキルアップにつながるとされています。
年収が上がりにくい
「年収が上がりにくい」という問題にはいくつかの要因があることが分かっています。
キャリアアップを目指さないということは、スキルアップや実績を積む機会を逃すことになり、それが年収の上昇にも直結してしまいます。
しかし、キャリアアップにはデザインスキルだけでなくディレクションスキルも必要であるため、向上心がない場合には年収アップにつながりにくいです。
同じ会社で働き続けている場合、年収アップには限界がある一方で、他社に実績を積んでから転職することで、年収が上がりやすい傾向にあります。
そのため、デザイナーにとっては、実績を積み重ねることが重要であり、複数の案件に携わることで幅広いスキルを身につけ、年収アップにつなげることが求められます。
納期に追われるケースが多い
「デザイン会社においては、納期に追われるケースが多い」というのは一般的な傾向です。
その背景には、クライアントの要望やプロジェクトの取り方などが挙げられます。
特に小規模な会社では、短期のプロジェクトを多数抱えているため、納期管理は重要な課題です。
また、デザイナーは複数のプロジェクトを同時に進行しなければならないことが多く、マルチタスクで効率的な進行が求められます。
そのため、ストレスや作業負荷が高くなることもありますが、スケジュール管理やコミュニケーションの改善など、問題解決のための工夫を行うことでストレスを軽減し、効率的な作業を行うことが可能です。
健康被害を生じる可能性が高い
デザイン業界は納期に追われたり、プロジェクトに多忙になったりすることが多いため、残業が多くなる傾向にあります。
またクライアントや上司からのプレッシャーや、チームメンバーとの関係悪化などが原因でストレスがたまり、健康被害を引き起こす可能性が高い業種でもあります。
そのため定期的な健康チェックやストレス解消法の導入など、健康管理に配慮することが大切です。
常にトレンドをキャッチし続けなくてはいけない
Web業界の特性として、トレンドの移り変わりが非常に速く、Webデザイナーもそれに合わせて常にアップデートしなければならないことが挙げられます。
特にスマートフォンやSNSの普及に伴い、Webデザインのトレンドはさらに加速しています。
そのため、Webデザイナーは勤務外の時間を使って最新の情報を取り入れることが重要です。
常にトレンドをキャッチするには情報収集のための時間を確保することが大切であり、キャリアアップのために積極的に自己投資をする必要があると言えます。
参入のハードルが低くなったため競争率が高い
Webデザイン業界において、参入のハードルが低くなったため競争率が高いです。
背景としてデザインツールの充実やクラウドサービスの普及によって専門知識がなくてもWebサイトを作成できる状況が考えられます。
このため、Webデザイナーに依頼しなくてもある程度のデザインが自社ないし個人で作ることが可能です
しかし技術や知識がベースであることに変わりはなく、より重要視されるのはクライアントの要望を汲み取り、適切なコミュニケーションをとる能力であると言えます。
従来から必要とされてきたスキルに加え、クライアントとの信頼関係を築き、課題解決につなげる力が求められるため、このような能力を持ったWebデザイナーでなければ、競争の激しい業界で生き残ることは難しいでしょう。
WEBデザイナーに対する認識違い
「WEBデザイナーに対する認識違い」はある程度のキャリアを積んだデザイナーにとっては重要な情報です。
業界にはWEBデザイナーはすぐに辞める人が多い、キャリアの幅が狭いなどの誤解が存在しますが、実際にはそういった認識は必ずしも当てはまるものではありません。
WEBデザイナーの離職率は他の職種と比較しても高くなく、将来性にも期待が持てます。
離職率は他と比べて高くはない
WEBデザイナーに対するイメージと実際の仕事の乖離により、離職率が高いというイメージがありますが、実際にはそうではありません。
厚生労働省が公開している2020年(令和2年)の離職率調査から、情報通信業離職率は9.2%であり、業界全体と比較して特に高いというわけではないため、必要以上に心配しなくともよいでしょう。
適切なプロジェクトにアサインされたり、業務に必要なスキルやツールが提供されることで、Webデザイナーの離職率が低くなっていると考えられます。
ただし、トレンドを追いかけ続ける責務やプロジェクトの納期に追われることが多いなど、業界特有のハードな環境もあるため、自分の適性やキャリアアップの選択肢を模索することも必要です。
キャリアの幅は狭くない
WEBデザイナーは、キャリアの汎用性が高い職種であることが分かっています。
ディレクターやUI/UXデザイナーに進むこともできますが、WEBマーケティングやコンテンツマーケティングなど、他の職種にキャリアチェンジすることも可能です。
さらに、フリーランスとして活躍することもできるため、幅広いキャリア選択肢があると言えます。これは、クリエイティブな分野であるWEBデザインが多様な業種や業界で必要とされるためです。
自分の能力を活かしながら自分に合ったキャリアパスを模索することができる魅力的な職種であると言えます。
自分の会社で成長の限界を感じたら、ポジションアップや規模の大きいプロジェクトを動かしている経験豊富な会社に転職する選択も有りです。
将来性は十分にある
近年、「デザインが不要になる時代が来るかも」と言われることがありますが、WEBデザイナーには十分な将来性があると言えます。
特に、大規模な企業サイトやECサイト、また特定のターゲットに向けたプロダクトを提供するメーカーなどのサイトでは、ユーザー動向の洞察やサイトの戦略設計が重要です。
これらのスキルは、知識や経験がないと身につかないものであり、今後も需要が高まっていくことが予想されます。
また、WEBサイト制作はあくまで手段であり、企業やサービスのブランドを伝えることや、ユーザーの利便性を高めることが目的です。
そのため、デザイナーは、戦略的思考やロジックをクリエイティブに変換できる能力を備えていることが求められています
こうした能力を持ったWEBデザイナーは今後も重宝され、需要が高まっていくと言えるでしょう。
WEBデザイナーに向いている人の特徴
WEBデザイナーに向いている人の特徴を3つ紹介します。
- プロジェクトの進行管理やコミュニケーションが得意な人
- 地道な作業が得意・苦しくない
- 最新のトレンドをキャッチするアンテナを持っている
それぞれを詳しく紹介していきます。
プロジェクトの進行管理・コミュニケーションが得意なひと
WEBデザインのプロジェクトでは、進行管理とコミュニケーションが極めて重要となります。
プロジェクトメンバー全員がスムーズにタスクを進めるためには、作業時間や進行状況を正確に把握する能力が必要です。
また、トラブルが発生した場合には、迅速かつ正確に情報を共有し、対処することが求められます。
このため、自分自身のタスク管理能力や周りの状況を把握する力を持ち、適切なコミュニケーションができる人材は、WEBデザインのプロジェクトに向いていると言えます。
地道な作業が得意・苦しくない
WEBデザイナーになるためには、地道な作業に耐える力が必要不可欠です。パソコンに向かって長時間同じ作業を繰り返すことは珍しくありません。
そのような業務に対しても、楽しめる気質や物事に一生懸命向き合う姿勢を持っている人材はデザイナーに向いています。
正直、「こんなことしてていいのか…」と思うような不安な気持ちを感じる時もありますが、地道な作業をこなすことで、正確性や細部への注意力などのスキルアップができると割り切りましょう。
この素質は高品質なデザインを提供する上で非常に重要な要素であり、デザイナーにとって不可欠なスキルと言えるでしょう。
最新のトレンドをキャッチするアンテナを持っている
WEBデザイン業界は日々進化しており、最新のトレンドをキャッチするアンテナを持っていることは非常に重要です。そのため、新しいものが好きで、好奇心旺盛な人材はWebデザイナーに向いていると言えます。
また、トラブルを防ぐためのコミュニケーションや作業の地道な繰り返しが必要な業務もあるため、タスク管理や周りの状況を把握できる能力も必要です。
最新技術に敏感で、地道な作業にも耐性がある、そしてコミュニケーション能力にも優れた人材はWebデザイン業界で活躍できるでしょう。
WEBデザイナーはやめとけと言われる理由まとめ
- WEBデザイナーは決して不遇な仕事ではない
- 十分将来性があり、やりがいがある
- WEBデザイナーには向き不向きがあるのは事実
- キャリアの選択肢や幅は広い
「WEBデザイナーはやめとけ」という風潮がある中で、実際には決して不遇な仕事ではありません。WEBデザイナーの仕事には、十分な将来性とやりがいがあります。
ただ、WEBデザイナーには向き不向きがあることは事実であり、そのような理由から「やめとけ」という意見が出てくることもあるでしょう。
しかしキャリアの選択肢や幅は非常に広く、デザイナーとしてのスキルを身につけることで、デザイン以外の分野へのキャリアチェンジも可能です。
また、デザイナー自身が学び続け、自分自身の可能性を広げていけば、新しい分野での活躍も期待できます。
さらに現代社会ではWEBデザインの重要性が高まっており、デジタル化が進む中で必要なスキルの一つとして注目されています。それに伴い需要も高まっており、今後も求められる職業であると言えます。
結論としては、WEBデザイナーはやめとけという風潮に惑わされることなく、自分自身が向いているのかを見極め、スキルアップしていけば、充実したキャリアを築くことができる魅力的な職業です。