派遣から正社員への道は、果たしてどのくらいの確率で実現できるのでしょうか?
多くの人が考える転換点、実際の確率と雇用形態の違いを解説します。
この記事では、さらに引き抜かれるために押さえておきたい重要なポイントや、正社員になるために今すぐできることを具体的に紹介していきます。
派遣から正社員へとステップアップするための道筋をおさえ、あなたも正社員への一歩を踏み出してみませんか?
派遣から正社員になれるケース
派遣から正社員になれるチャンスは意外なところに隠れています。
派遣から正社員になれるケースは以下の3点です。
一つずつ解説します。
派遣の契約期間が終わるタイミングでの打診
派遣の契約更新の時期は企業が人材の見直しを行うタイミングでもあり、既に実績を積んでいる派遣社員を正社員として迎えやすい時期です。
ある企業で6ヶ月間の派遣契約で働いていたAさんの話
ある企業で6ヶ月間の派遣契約で働いていたAさんは勤務態度やスキルが高く評価されていました。
Aさんは今後も働き続けていきたいと考えていたのもあり、契約終了の1ヶ月前に派遣元の営業担当を通じて、派遣先の上司に正社員登用を打診。
企業側も他の人を採用して育てるよりもAさんに働いてもらう方がいいという思惑があったため、Aさんは無事に正社員として登用されました。
このように、契約期間終了前に打診することで、企業側も計画的に採用プロセスを進めやすくなり、正社員への道が開ける可能性が高まります。
また、派遣には派遣雇用の3年ルールがありますが、3年経ったからという理由ですぐに派遣を辞めなければいけないわけでもありません。
3年の派遣期間が過ぎた後でも契約終了時に直接雇用になれる可能性があります。
したがって、派遣から正社員への転換を目指す場合、契約終了時のタイミングを逃さず、ステップアップの意欲を積極的に示すことが重要です。
正社員が退職
派遣社員が正社員に昇格する一般的なケースには、正社員の退職や人手不足が挙げられます。
理由は、派遣先企業がすでに業務に精通し、信頼を築いている派遣社員を優先して正社員に登用する方が費用・時間の削減になるためです。
例として、長期にわたり勤務してきた派遣社員が派遣先の正社員の退職に伴い、その空席を埋める形で正社員に昇格することがあります。
また、急な人手不足の際には、即戦力として評価された派遣社員が正社員へと移行することも少なくありません。
よって、派遣社員が正社員へとステップアップするためには、日常的に業務の質を高め、信頼関係を築くことが極めて重要です。
能力やスキルが評価される
派遣社員が正社員に昇格する主な要因は、その能力やスキルが企業に高く評価されることです。
特に専門的な技術や資格を持つ派遣社員は、企業にとって長期的に貢献できる貴重な人材といえるでしょう。
正社員オファーを受ける一例
- 高度なプログラミングスキルを持つ派遣社員が、プロジェクトでの顕著な成果を通じて正社員のオファーを受ける
- 簿記の資格を持つ派遣社員が、これまでの仕事の正確さや人当たりの良さも加味され経理部の社員にならないかと声をかけられた
また、評価されるスキルにはチームコミュニケーション能力やプロジェクト管理能力・データ分析能力などが含まれます。
したがって、派遣社員が正社員になるためにはこれらのスキルを積極的に磨き、企業への明確な貢献を示すことが重要です。
派遣から正社員になれる確率と雇用形態について
ここでは、派遣から社員になれる確率と派遣から直接雇用に切り替わる際の注意点を解説します。
直接雇用も視野に入れている方にとっての意外な落とし穴もあるため、ぜひチェックしてください。
派遣から正社員になれる確率
紹介予定派遣は、企業が労働者の能力や適性を事前に評価できる一方で、労働者には職場環境を体験し、自己のスキルを証明する機会を提供する制度で正社員への近道ともいえる制度です。
厚生労働省のデータでは紹介予定派遣を利用した38,239人の労働者のうち、19,008人が直接雇用に移行しています。
また、独立行政法人労働政策機構の統計では57%の人が直接雇用から正社員になっているデータがあります。(参考:紹介予定派遣から正社員になれるのか?現実と正社員になるためのコツ)
つまり、派遣から正社員になれる確率は、紹介予定派遣の場合約28%です。
この統計から、紹介予定派遣が労働者にとって正社員への現実的な道を開く手段であることを示しているでしょう。
派遣から直接雇用される場合の注意点
派遣から直接雇用される際には、雇用条件を理解しておきましょう。
なぜなら、直接雇用と言っても正社員に限らず、契約社員、無期契約社員、パートやアルバイトなどさまざまな形態が選ばれる可能性があるからです。
たとえば、製造業では繁忙期のプロジェクトに合わせて契約社員を雇用することがあり、サービス業では労働時間の柔軟性を重視してパートやアルバイトを採用することが一般的です。
よって、派遣から直接雇用へ移行する際には、自分のキャリアプランに合った雇用形態を選択することが望ましいでしょう。
正社員になるためにできること
正社員になるためにできることに取り組むことで、ライバルから一歩リードすることが可能です。
次に派遣から正社員になるために必要なことを紹介します。
以下の4点について一つずつ解説します。
紹介予定派遣の利用
紹介予定派遣とは、労働者派遣のうち、派遣元事業主が労働者派遣の開始前又は開始後に、派遣労働者及び派遣先に対して、職業紹介(派遣労働者・派遣先の間の雇用関係の成立のあっせん)を行い、又は行うことを予定してするものです。
紹介予定派遣は上の章でも簡単に触れましたが、正社員になるための効果的な手段です。
派遣期間(最長6か月)後、両者の合意があれば、派遣社員は派遣先企業の正社員になれるるメリットがあります。
この制度は、派遣期間を通じて派遣社員と企業が互いに適性を確認し合えるため、正社員への転換が現実的に期待できるでしょう。
求職者にとっては正社員への道が目指しやすく人気が高い派遣制度となっています。
ただし、紹介予定派遣の求人は全派遣求人の約7.5%と少ないのが現実です。(参考:ミライの仕事:確率を調査!派遣から正社員になる4つの方法となぜ難しいかを解説)
正社員登用前提の確認
正社員になるためには、派遣開始前に正社員登用の前提があるかどうかを確認することです。
派遣から直接雇用された後も必ずしも正社員とは限らず、契約社員や無期契約社員として採用されることもあります。
あるIT企業に派遣されていたCさんの話
直接雇用後、契約社員としての採用が確定しましたが企業側から提示された雇用契約書には「契約社員」の文字。
契約社員として働きながら正社員登用試験にチャレンジ。
契約社員として働いてから3年後、正社員になることができましたがキャリアアップまで遠回りしてしまい、道のりが長くなってしまいました。
また、本気で正社員を目指す場合は、転職エージェントを利用してキャリアの強みを強化しながら転職活動を行うことも有効な手段です。
このように、初期段階での明確な確認と計画的なキャリア戦略が、目指す職種に合った結果をもたらします。
選考前の念入りな準備
正社員になるためには、選考前の念入りな準備が重要です。
書類選考や面接段階で自分の強みや適性を明確に伝えることが、採用担当者に好印象を与えるために不可欠です。
また、予期せぬ質問にも冷静に対応できるよう心の準備をしておくことが、採用の可能性を高める要素となります。
たとえば、事前に自己紹介や職歴の説明を準備し、面接で冷静に対応した候補者が、最終的に正社員として採用されたケースがあります。
事前準備は、採用担当者に「この人なら任せて安心」という信頼を築くのに効果的です。
社会人のマナーを守る
正社員になるためには、社会人としてのマナーと誠実な勤務態度が重要です。
直接雇用前提の派遣であっても、派遣社員の勤務態度やマナーは正社員登用の重要な基準とされていることからもわかるように、遅刻や無断欠勤などの問題は、正社員のチャンスを損ねる主な原因となります。
実際、時間通りに出勤しかつ会社のルールを守る派遣社員は正社員として採用されることが多いものです。
これらの基本的な行動が「信頼できる社員」としての評価を得る鍵となります。
派遣から正社員になれないケース
派遣から正社員になれると慢心していると思わぬところで足をすくわれてしまうため気をつけてください。
反対に派遣から社員になれないケースを紹介します。
以下の3点に気をつけて正社員への道をめざしましょう。
周囲とのコミュニケーション不足
派遣から正社員になれない主な理由の一つは、周囲とのコミュニケーション不足です。
なぜなら、職場でのコミュニケーションはチームワークと業務効率を高めるために重要だからです。
一般的に、コミュニケーションが不足していると人間性やチーム適性に問題があると見なされがちでしょう。
技術力の高さがあったとしてもコミュニケーションを取りたがらない派遣社員は、チームでの貢献が難しいと判断されるため、正社員のオファーを受ける可能性は高くありません。
したがって、派遣社員が正社員に昇格するためには単に業務能力が高いだけでなく、職場でのコミュニケーション能力も非常に重要視されています。
勤怠が悪い
勤怠が悪いと、派遣から正社員への道が遠のくでしょう。
派遣期間中に遅刻や欠勤が多い場合、やる気がないと見なされ、信頼を失うからです。
ある企業の派遣契約で働いていたAさんとBさんの話
頻繁に遅刻や欠勤を繰り返していた派遣社員Aさんは業務シフトに頻繁に穴をあけ、派遣先での評価も悪く正社員登用の話が出ませんでした。
一方で、勤怠が良いことで仕事面での信頼を得た派遣社員Bさんは正社員として採用されました。
日常の仕事も選考の一環と考えるとわかりやすいでしょう。
正社員になるためには、勤怠を守り社会人としての責任感を示すことが重要です。
反抗的な態度をとる
派遣から正社員になれない理由に反抗的な態度をとることが挙げられます。
企業は協調性とチームワークを重視するため、指示に従えないと見なされる派遣社員は職場の雰囲気や生産性に悪影響を及ぼすと判断され、正社員登用が見送られることがあるでしょう。
ある企業で派遣契約で働いていたAさんとBさんの話
「これは派遣社員ではなく社員の仕事だ」など上司の指示に反抗的な態度を続けた派遣社員Aさん。
同僚や上司との関係が悪化、正社員として働けないだろうと思われ正社員登用のチャンスを失いました。
一方で、指示に積極的に従い協力的な派遣社員Bさんは正社員になった場合の貢献度が高いだろうとみなされ、キャリアアップに成功したのです。
したがって上司の指示に従い、協調性を持って行動することが正社員への道を開く鍵となるでしょう。
まとめ
今回の記事では、「派遣から正社員になれる確率は?正社員になるためのポイント」について解説しました。
内容は以下のとおりです。
- 派遣期間の終了時や正社員の退職に伴う空きポジションへの応募が有効
- 社員登用にむけて、技能やスキルの向上、信頼関係とコミュニケーション能力の強化が重要
- 直接雇用の際、必ずしも正社員になるとは限らず、様々な雇用形態になる可能性があるため確認が必須
- 正社員登用の障害として、勤怠の問題、反抗的な態度、コミュニケーションの不足があげられる
本記事は、派遣から正社員への移行可能性について説明しました。
一例として、紹介予定派遣を活用することで正社員への道が開かれやすいことを示させて頂きました。
また、正社員登用のチャンスを最大限に高めるためにはスキルアップとコミュニケーション能力の向上が鍵です。
さらに、派遣契約が終了するタイミングで積極的に正社員登用を打診することが推奨されています。
これらのアクションを通じて、派遣から正社員への道をつかみ取り、あなたが望むキャリアへと挑戦していきましょう。