業務をしているうえで、上司の口調がきつかったり、ひどい時には理不尽な責任を押し付けられたり、実はパワハラに該当するような行為をされていることは珍しくありません。
この記事では、パワハラにあった場合やパワハラを上司から受けている人にむけて、どのような対応をすればいいのか解説しています。
どうしてもパワハラ上司に対応したくない、退職を自分から伝える気力もないという方には退職代行サービスの利用を考えてみてください。
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そもそもパワハラの定義とは
そもそもパワハラとは、職務上で地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えた、精神的・身体的苦痛を与える行為や、労働者の就業環境が害される行為のことを言います。
またパワハラは同じ会社に所属する人間同士に限らず、取引先や顧客など、業務上接点が発生する社外の人間も対象となります。
遅刻や業務の怠慢に対しての注意など、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導はパワハラの対象となりません。
パワハラをする上司のタイプ
パワハラをする上司のタイプを以下で具体的に紹介します。
- 失敗は部下のせい・責任を部下に押し付ける
- 部下の功績や評価をあたかも自分がやったかのように振る舞う
- 感情の起伏が激しく、気分を害している時は聞く耳すらもたない
- 根性論で物事を進めようとする・周囲へ押し付ける
- 行き過ぎた熱血指導をする・価値観を押し付ける
失敗は部下のせい・責任を部下に押し付ける
チームの仕事の失敗や責任をすべて部下に押し付けるタイプです。
部下を動かす上司の立場でありながら、自分の評価のために失敗したことをすべて部下になすりつける上司は存在します。
上司の指示の出し方の甘さや、伝達ミスを起因としたミスは、上司にも責任が発生するのに対し、そのような事実は一切認めず「お前は能力が低い」などという理不尽な理由で部下を責め立ててきます。
部下の功績や評価をあたかも自分がやったかのように振る舞う
部下が達成した目標や功績を「自分のおかげだ」「自分の指導がよかったから」だと結果を横取りするタイプです。
自分より優秀な部下を認めない、仕事を競争だと考えているプライドの高い上司にありがちです。
上司に結果や成果を奪われることにより、社内で努力している人が正当に評価されず、従業員のモチベーションが低下してしまうという悪循環が生まれてしまいます。
感情の起伏が激しく、気分を害している時は聞く耳すらもたない
感情の起伏が激しく、仕事中関係なく冷静さに欠いた感情を他者へぶつける自己中心的なタイプです。
仕事が思い通りに進まないとイライラし始める人によくあるケースで、ひどい場合は物にあたり威圧感を与えたり、口調が粗くなったりします。
このようなタイプの上司は暴言・暴力までパワハラを平然と犯しやすいです。
また、感情的になっている時は、話すらまともに聞いてくれないため、コミュニケーションをとることも難しいでしょう。
根性論で物事を進めようとする・周囲へ押し付ける
「目標を達成できないのは努力が足りないから」や「頑張れば何事も達成できる」など、根性論ですべてを解決できると考えている人です。
特に40代後半から60代くらいの上司に多く、バブル時代勢い努力で成し遂げた功績と感覚を、今でも通用するかのように、他者へ押し付けてくるタイプです。
過去失敗してきたことや学んできた時間があるから自身はできているだけで、これから学びが必要な人に自分の未熟な過去をあてはめられない想像力の足りないタイプです。
行き過ぎた熱血指導をする・価値観を押し付ける
自分の考えが100%正しいと勘違いしている上司のタイプです。
部下の意見を聞くことは少なく、部下が意見をしても「歯向かった」「楯をついた」などとしかとらえない昭和の鬼教官のようなタイプで、特に部下の精神病を生みやすい存在です。
こちらもコミュニケーションを取ることが難しく、対策方法は限られてきます。
パワハラ上司の特徴・部下への行為
ここではどこからがパワハラに該当するのか、パワハラの6種類と具体的な例を紹介するので、あなたが受けているパワハラがないか確認してみましょう。
- 身体的侵害や攻撃
- 精神的攻撃
- 人間関係の切り離し・職場で孤立させようとする
- 過大な要求
- 過小な要求
- 個の侵害
身体的侵害や攻撃
殴る・蹴る・突き飛ばすなどの暴力や傷害などの身体的攻撃をする行為で、脅迫や威嚇行為なども身体的侵害タイプのパワハラにあてはまります。
精神的攻撃
暴言、名誉棄損、屈辱的な言葉、セクハラまがいの発言をし相手を精神的に追い込む行為です。
人格を否定するような暴言、精神攻撃はうつ病や適応障害など患ってしまうケースもあります。
また、わざと周囲へ聞こえるように「部下は無能」「自分はこんな部下をもって大変」などの部下のイメージを損ねるような発言をすることも精神的攻撃に含まれます。
- 遅刻や態度など社会ルールを欠いた言動が注意しても改善されない労働者に対して、強く注意をする
- その企業の就業規則や業務内容において、重大な問題行為を行った労働者に対して、強く注意をする
人間関係の切り離し・職場で孤立させようとする
部下を職場で孤立させようとする行為です。
このようなタイプの上司は仕事を教えない、情報の共有をしないなどの行為をするケースが多いです。
また、業務から外したり、周囲とのコミュニケーションを妨げるようなことをしたり、周囲に無視するよう促したりするなど、稚拙な行動が目立ちます。
過大な要求
部下の仕事量のキャパシティをこえた業務・仕事量を押し付ける行為です。
上司の分の仕事まで押し付ける、上司の私的な雑用を手伝わせるなど、部下の裁量を超えた過大な要求もパワハラに該当します。
定時に「これ今日までにやっておいて」と時間のかかる作業を指示されるなど長い時間の拘束は残業も増え、肉体的疲労や苦痛が溜まってしまいます。
過小な要求
過大な要求とは逆に、本人の能力には見合わない、誰でもできるような仕事しか与えない行為です。
実力や実績に伴わないタスクばかりでは自尊心を傷つけられてしまいます。
経験あり5年目でわかる事が増えてきたのに、コピー作業や掃除雑用ばかりをさせるなどもこれに当てはまります。
個の侵害
上司という立場を利用して、部下のプライベートを侵害する行為です。上司命令といい休日出勤させることや、プライベートの情報を無理矢理引き出させる行為も該当します。
性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の個人情報を、本人の許可なく他者へ言いふらすことが対象のパワハラです。
就業時間外に業務のLINEで立場上断りにくい食事や交際の誘いを送るなどが発生しやすいです。
パワハラ上司への対策方法や追い込むための手段
上記のようなパワハラ行為を行う上司の対策方法を紹介します。
正面から立ち向かうのは精神的にも時間的にも苦痛を伴うため、基本的には外部を頼る事となります。
- パワハラ行為の証拠を残しておく
- 社内へ報告・相談してみる
- 外部の機関を頼る
- 裁判をおこす
パワハラ行為の証拠を残しておく
パワハラ被害を受けた証拠を残すことが大切です。
上司に強い言葉で責められてしまうとその場では正常な判断ができない場合が多いです。
後々確認できる証拠を残しておけば、社内・外部へ相談する際の説得材料にもなりますし、具体的なアドバイスや対応を受けやすくなります。
被害が大きい時や損害賠償を請求するときにも証拠は必要なため、証拠は残しておくべきです。
自信に過失はないにしても情報は伝わってしまうので、職場に居づらくなったり、転職活動が不利になるリスクがゼロではありません。
また解決・請求まで時間がかかってしまう上に費用倒れとなってしまうケースもあるため、報告のみに留めて早急に転職した方が精神的に楽な場合があります。
パワハラの労災を会社に認めてもらう
パワハラによって身体に支障をきたした場合、労働災害に区分されます。
仮にパワハラが事実であり、労災によって認められれば会社も対処するほかないのです。
パワハラだと認定する主な要件としては以下の3つがあげられます。
- うつ病などの精神障害を発症している
- 精神障害発症前おおむね半年間にわたる心理的負荷があった
- 職場以外での心理的負荷により精神障害を発病したわけではない
上記基準が満たされれば労災が認められ、会社に処置を求めることができます。
労災認定までの手順としては以下の通りです。
- 医療機関の受診
- 労働基準監督署に申請書を提出
- 労働基準監督署の調査
- 決定通知書が届く
社内へ報告・相談してみる
早期に解決したい場合は、社内の人事や、上司のさらに上の役職にあたる方へ相談してみましょう。
ある程度大きい企業では社内に外部機関を入れた相談窓口が設置されていて、上司に伝えずに相談することも可能な場合があります。
ただし社内機関で社員の上役がパワハラ相談窓口を兼任している場合も多く、その場合上司へ伝達される可能性もあるため、優位に進められるかは会社によります。
外部の機関を頼る
社外の相談先として、「総合労働相談コーナー」や法テラスのコールセンター、労働条件相談ほっとライン、みんなの人権110番などがあります。
労基署の総合労働相談コーナーに問い合わせると、社内解決が可能かヒアリングの上、パワハラに関する調査が行われます。
その後当事者間で解決が難しいと判断された場合は会社への指導や、適切な専門機関のあっせんが行われます。
社内に相談しづらかったり、自分1人でどう対応したらいいか分からない時は、外部機関から具体的なアドバイスを受けて、今度の対応や方針を決めることも解決に繋がります。
裁判をおこす
パワハラが改善されない場合は、労働審判を起こすことができます。
労働審判手続は、解雇や給料の不払など、個々の労働者と事業主との間の労働関係のトラブルをその実情に即し非公開で迅速、適正かつ実効的に解決するための手続です。
民事調停だと調停不成立で終了してしまうのに対し、労働審判では裁判所の最終決定が得られるので、手続き外の和解から取り下げとなった分も含めると8割程度のケースで問題を解決できた実績がある手段です。
パワハラ上司を会社から辞めさせることはできるのか
パワハラにより加害者を「懲戒解雇」処分とする場合は、会社の就業規則に「悪質なパワハラ行為が発覚した場合懲戒解雇とする」といった記載が明確に規定されていることが前提です。
悪質なパワハラ行為のあった事実が確認できない場合、「懲戒解雇」処分を行うことはできないことから、社員一人に対するパワハラでは、ある程度の役職を持った上司を退職させるのは難しいと言われています。
ただし、目に余るほどひどい行動を上司がしているのであれば、以下手順を踏むことで辞めさせられる可能性はあります。
- 証拠をそろえる
- 社内への報告、相談
- 社外に報告、相談
証拠がない限り、他の期間に相談する際の材料になりません。
先述した通り「いつ・どこで・どのような内容を・どれくらいの間・誰に受けたか・どう思ったか・どうなったか」まで細かく証拠として残しておくことが重要です。
パワハラ上司へ仕返しをしないほうが良い理由
基本的にパワハラ上司への物理的な仕返しや仕事を怠慢に行うなどの仕返しは自身の評価を下げることに繋がり、転職活動をするとなった際のリスクになりかねないので、仕返しはするべきではありません。
泣き寝入りを推奨しているのではなく、戦えばさらにパワハラがエスカレートしてあなたが潰されてしまう危険性があるので、憎い上司を辞めさせたいと怒りに燃えていたとしても、仕返しは逆に疲弊してしまうことになります。
パワハラ上司の対策として前向きな選択肢としての転職がおすすめ
何らかの行動を試みても上司の改善の姿勢が見られない場合は、転職して環境を変えるというのが最もスムーズな選択です。
パワハラを放任する会社に所属することは、ストレスに耐えながら勤務することになります。また、職場環境の改善に努めないような会社は他の問題も発生する可能性も高いです。
現職場の制度や環境を自分自身で変えるのは難しいので、転職をし自分が身に置く環境を物理的に変える方が時間・精神的にも良いです。
ただパワハラされたからとすぐ退職願を出してしまうと自己都合による退職となるため、退職手当を受けられる期間が減ります。
人によっては資金の都合上、退職後の転職活動に支障がでることもあるでしょう。
そのためパワハラが理由で退職するなら、人事にパワハラの証拠を提示するなどして必ず離職票に「会社都合」の退職と記載して貰ってください。
会社都合の退職は会社にとって「雇用促進を目的とした多くの助成金制度」が受けられなくなる要因となるので、パワハラ加害者への注意は厳しいものとなる可能性が高いです。
この手順はある程度厳しい上司への注意が行われる上、戦う時間も少なくスムーズにストレス要因から離れることができ、費用もかからず退職手当も多く出るので、落ち着いて転職活動ができます。
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パワハラ上司の対策・対処法のまとめ
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