就職活動をしている時はさまざまな求人を目にする機会があります。
数多くの求人を前に、考えるのはどこの企業で働きたいかということですが、中にはブラック企業も紛れ込んでいるのです。
やばい求人の甘い言葉に惑わされないよう、見分け方などを解説します。
転職活動の際、注意すべきポイントをしっかり押さえて後悔のない就職をしてください。
やばい会社・ブラック企業の特徴は?
ブラック企業とは、働く上でのコンプライアンス意識が非常に低く、社員の離職率が高い職場を指します。
コンプライアンスをきちんと守り、社員にとって働きやすい職場環境づくりを意識しているホワイト企業の対局にある存在です。
長時間労働や遂行困難なノルマを課す、パワハラ、賃金の不払いなどで社員を疲弊させ、使い捨てのごとく働かせる企業といえます。
ブラック企業の特徴は以下のとおりです。
ノルマが多く、サービス残業が常態化している
ブラック企業の特徴の1つに、ノルマが多すぎることが挙げられます。
到底到達できないような目標や売り上げなどを設定し、社員に達成するよう命令します。
非現実的なノルマを課す理由はいくつかありますが、会社としての業績アップ、社員のやる気アップの目的がほとんどです。
精神論などを盾に業績を伸ばそうとしますが、社員のマンパワーには限界があります。
ノルマを達成できない場合、残業をしてでもやり遂げるように、本人の意思や都合関係なしに一方的に命令します。
しかし、社員の能力・やる気不足を理由に残業代を支払わないケースも多く、達成困難なノルマを前に、サービス残業が当たり前となってしまいます。
無責任な労働環境や教育体制
無責任な労働環境や、社員を育てる体制が整っていないのもブラック企業の特徴です。
なぜなら、ブラック企業は社員を使い捨てのコマとして捉えている一面があるからです。
劣悪な労働環境であり、従業員の安全や健康を守る仕組みが整っていません。
社員を育てる考え方や仕組みも完備されていないため、当然働きにくい環境といえます。
適切な指導を受けられない、安全や健康が守られていない中で無理して働くことを強いるのです。
退職率や離職率が高い
ブラック企業は、退職率や離職率が高いことで知られています。
退職率や離職率が高い背景には、劣悪な労働環境や待遇があるのです。
上記であげた無責任な労働環境や教育体制もあり、正しく安心して働けない状態が当たり前となっています。
求職者を採用する段階でふるいにかけず、採用してから一方的に「今ある環境で耐えること」を強制します。
結果として、会社のあり方や考え、働き方に社員がついていけずに退職していくのです。
やりがい搾取なケースが多い
ブラック企業でよく見られるケースとして「やりがい」を盾に社員を働かせることが挙げられます。
もちろん、社会人として自ら仕事にやりがいや熱意を持ち取り組んでいくことは必要です。
しかし、会社側からやりがいという都合のいい言葉を使い、馬車馬のごとく働かせるケースがあります。
「社会貢献」「人の役にたつ」「努力」「やりがい」など耳障りのいい言葉を使い、社員が動かざるを得ない状況に持っていくのです。
結果として、社員に無理な働き方や過剰な労働を強いることになります。
コンプラ意識が低い
コンプライアンスとは法令順守を意味します。
社会の中で生活し、働いていく以上法律を守ることは大前提です。
しかし、ブラック企業は法律に対する意識が低いといえます。
なぜなら法律を守ることに重きをおいておらず、会社の存続や売り上げばかりを意識しているからです。
- 法律よりも会社のトップが言うことが絶対
- 法律を多少破ってでも、目先の売り上げをあげることが大事
社員はあくまで売り上げをはこぶ駒、馬車馬として使い捨ての守るべき存在ではない考え方があります。
そのため、法律で社員や会社がよりよく働けるようにしようと、職場を守る意識が欠如してしまうのです。
やばい求人を見分けるポイント
ブラック企業や社員を大切にしない企業は「やばい求人」を出しているケースがほとんどです。
いくら耳障りのいい言葉や美辞麗句を並べたところで、気付かぬうちに正体を明かしているといえます。
求人情報からブラック企業を見分けるポイントは以下のとおりです。
詳細な仕事内容が記載されていない
ブラック企業の求人には、仕事内容の詳細が記載されていないことがほとんどです。
ブラック企業の求人に仕事内容が記載されていない理由は以下のとおりです。
- 仕事内容を正確に記載できないから(コンプライアンス違反、批判されてもおかしくない内容で働いている)
- 正直に記載して応募が来ない状況を避けたいから(「アットホーム」「やりがい」など興味を引くワードで人を集めようとしている)
詳細な仕事内容の記載がない場合、実態がとらえられないデメリットがあります。
結果として、入社後に思わぬ過重労働が待ち受けていることも十分に考えられるのです。
求人票に書かれている仕事内容を十分に理解し、納得した上で応募してください。
募集条件が緩い
ブラック企業のやばいと言われる求人に書かれている募集条件はあってないようなものである場合が多いといえます。
条件を緩く設定し、多くの求職者を呼び寄せ、採用する目的があるからです。
人手不足を解消しよう、採用してから都合のいい人だけを残そうといった会社本意の考え方が透けて見えます。
募集条件が緩いのは、求職者のためではなくあくまで会社のためであり、自分勝手な主張と同義です。
「やる気があればOK」「年齢条件なし」「未経験大歓迎」など甘い言葉には注意してください。
労働時間や休日が不明確
具体的な労働時間や休日の日数が不明確である場合も要注意です。
なぜなら労働時間や休日日数が明確に提示されていないと、実際に働いた場合のギャップが生じるためです。
採用されてから、希望する休日数がもらえない、自分の限界以上の労働を強要されることが考えられます。
最悪の場合、労働基準法に乗っ取っていない労働日数や休日数であるケースもなきにしもあらずです。
労働日数や休日についても労働者は把握し、納得した上で働く権利があるため、不明確な場合は要注意といえます。
年間休日が105日以下
年間休日が105日以下の場合、法律に違反している可能性があることからブラック企業である可能性も高いです。
労働基準法で労働者の健康や働きやすさを意識した労働時間・休日の設定が詳細に定められています。
その最低限の休日日数が105日です。
年間休日105日以下の場合、労働者の健康や働きやすさが保障されていないことが多々あります。
社会人としてベストなパフォーマンスで仕事を続けていくためには十分な休息とメリハリが必要です。
そのため、年間休日105日以下の企業は要注意です。
年間休日については「年間休日110日は「しんどい」と感じる? 」の記事でも紹介していますので、合わせて参考にしてみて下さい。
高すぎる給与やインセンティブ
給与やインセンティブで求職者を1人でも多く募る目的があるため、あまりにも高すぎる給与やインセンティブを提示する求人や企業にも注意が必要です。
そのため、他の同業他社と比べて提示されている給与やインセンティブが高い場合、何か理由があると考えるのが得策といえます。
- 条件つきの給与やインセンティブ(残業代含、ノルマ達成時の金額を提示)
- 長時間労働を前提とした給与やインセンティブ
- 一定の役職以上の給与やインセンティブ(課長職は〇〇円〜など)
給与やインセンティブには必ず理由や根拠があります。
他の企業や同年代と比較し、働きに合っているか確認することが重要です。
理由や根拠の説明を求めて納得できる回答が得られない場合、ブラック企業の可能性が高いといえるでしょう。
過去の求人情報との整合性
求人を出す頻度や内容でブラック企業か否かがある程度炙り出せるため、過去に企業が出していたであろう求人情報を確認しましょう。
- 過去の求人と現在の求人に整合性・一貫性がない(労働環境や待遇が曖昧、その時によってコロコロ変わる)
- 求人を出す頻度が高い(離職率が高く、常に働き手として新入社員を求めている)
これまで出されている求人情報は公式サイトやハローワークなどで確認可能です。
応募する前にあらかじめ目を通しておくことをおすすめします。
曖昧な福利厚生や待遇
福利厚生や待遇でブラック企業か否かが判断できる理由は、その存在意義にあります。
福利厚生は法律で定められた法定福利厚生とそれ以外の法定外福利厚生の2種類があります。
福利厚生や待遇は社員が働きやすく社員がいかに働きやすく働けるか、モチベーションの向上や人材確保のために用意されているのです。
つまり、福利厚生や待遇はいかに社員を大切にしているかを測る指針ともいえますが、福利厚生や待遇が曖昧である場合、社員にとって働きにくい環境といえます。
注意すべき福利厚生や待遇の表現の一例です。
- 詳細が一切書かれていない
(「福利厚生充実!」のみで詳細がない) - 労働者の権利として当然のものが大きく書かれている
(「有給休暇完備」「各種手当あり」「出産休暇・育児休暇取得可能」) - みなし残業手当含む待遇を提示
(給料〇〇円※みなし残業手当含)
【面接前】やばい会社を見分けるポイント
企業の情報を知る手段は求人票以外にもいくつかあります。
面接前にやばい会社やブラック企業を見破るために、意識して見るべき点を紹介します。
企業のホームページやSNSを調査
ホームページの有無、本社所在地、仕事内容など基本的なことは当然ですが、企業理念や働く環境についての表現もチェックが必要です。
企業のホームページを見ることで、ブラック企業か否かある程度判断することは可能です。
ホームページのクオリティの低さや採用情報の解像度の低さは、資金不足や採用に対しての優先順位の低さが伺えます。
基本的にホワイトとされている企業は、企業理念や働くスタッフの顔など、採用情報に力を入れていることが多いです。
また、SNSで企業名を調べることで忖度ない口コミや評判、働いている人の感想をチェックできます。
ホームページには美辞麗句が並んでいるものの、実態が気になる場合はSNSも細かく調べるのも方法の1つです。
口コミサイトでの評判チェック
実際に働いている人や、過去に働いていたことがある人の口コミが書かれているサイトでの評判チェック企業の実態を知るために重要な手段なので行うべきです。
口コミサイトはいくつかありますが、会員数や口コミ掲載数で参考にしたいサイトは以下のとおりです。
- 転職会議:320件以上の口コミを掲載している国内最大レベルの口コミサイト
- OpenWork:学生などの若い世代の口コミや分析データを確認できる
- キャリコネ:実際に働いている人のリアルな給料について、給与明細から知ることができる
社員のリアルな感想や口コミが確認できるため、退職理由や労働環境の良し悪しなども見ることができます。
【面接時】やばい会社を見分けるポイント
求人情報でやばい会社が見破れないとしても、面接で実際に顔を合わせて正体を露わにするブラック企業もあります。
面接でやばい会社を見分けるポイントは以下のとおりです。
面接官の態度や対応
ブラック企業か否かを見極める際にポイントとなるのが、実際に働いている人の態度や対応といえます。
面接を希望しているに対し、どのような態度で接するかで社員との関わり方や仕事への向き合い方を垣間見ることができるためです。
面接官が不適切な発言や圧力をかけるような態度をとる場合、それは企業文化に問題がある可能性が高く、ブラック企業と考えられます。
また面接官が疲れている様子、言葉遣いなど印象がよくないといった場合も赤信号です。
面接官も働いている社員であるため、将来その企業で働いた場合の自分の将来の姿ともいえます。
面接の進行方法や質問内容
面接の進行方向や投げかけてくる質問に問題がある場合、ブラック企業の可能性が大きいといえます。
面接は企業と求職者とが働くために必要な情報をお互いを知る場面といえます。
それと同時に、面接官が会社を代表して仕事に対する認識のすり合わせや確認を行う場です。
ふさわしくない質問をする場ではありません。
もしも働く上で不適切な質問や過度なプレッシャーをかける質問が多い場合、企業の人事方針や考え方に問題がある可能性があります。
以下の質問や確認があった場合、コンプライアンスや働きやすさの観点から要注意の企業といえます。
- 家庭の事情に関すること(家族の職業、家柄など)
- 結婚や出産の予定の有無、交際相手の有無など
- 思想や支持政党に関すること(個人の思想に踏み込んだ質問、愛読書など)
- プライベートに関すること(ライフスタイル、居住環境など)
面接会場や職場環境
面接の会場や職場環境で、企業のあり方が見て取れるともいえます。
なぜなら、職場環境が働きやすいように整えられていない場合、社員の働きやすさや快適性がおざなりになっているからです。
本来されるべき職場環境の整理整頓がきちんとされていない、社員同士のコミュニケーションが明らかに取れていないなどが挙げられます。
職場環境が悪い場合、企業の経営状況や働く環境自体に問題があるといえるでしょう。
企業文化や働く人たちの様子
働く人たちの様子を観察することで、企業のあり方や勤務スタイルが見て取れる場合があります。
例えば、社員が疲れた様子で働いている、チーム間でコミュニケーションが取れていない様子が見られる場合、企業の働く環境に問題があるといえるでしょう。
このような場合、残業やオーバーワークが常態化している、人間関係やチームワークが取れていないため仕事の効率化が見込めないといったことが考えられます。
労働条件や待遇に関する質問
面接の際に労働条件や待遇に関する質問や話題はマストといえます。
面接は、企業の一社員として働くために必要な確認を行う場であるためです。
働く上で労働条件や待遇は確認しなければならない内容であり、この点について納得しない以上働くべきではないともいえます。
面接のタイミングで労働条件や待遇に関する質問をすることで、企業が労働者の権利を尊重しているか、適切な対応をしているかを確認することができるのです。
企業が適切な答えを提供できない、質問を避けるような態度を取る場合、労働条件や待遇に問題があって答えられない可能性が高いといえます。
【内定後】やばい会社の見分け方
面接を経て無事に内定を手に入れたとしても、問題を抱えている企業に入社するべきではありません。
あくまで内定は正式に労働契約を結ぶ前段階であり、この時点で入社すべきではないと気づくことができれば問題はありません。
内定後に企業から内定通知書や労働契約書が正式に交付されますが、しっかりと確認することが重要です。
内定後に交付される書類で確認するべき事項は以下のとおりです。
- 内定承諾までの期間(検討する時間を与える間もなく受諾させようとする、内定辞退を許さないプレッシャーを与えてくる場合は要注意)
- 労働契約書に必要な項目が書かれているか
①労働契約の期間に関する事項
②就業場所や業務内容に関する事項
③労働時間・残業の有無・休日に関する事項
④給与に関する事項
⑤退職に関する事項)
内定承諾は、求職者にとっても企業にとっても重要事項といえます。
人生を左右するといっても過言ではない決断を急かす、強要するような発言をする場合ブラック企業の可能性が高いのです。
また、働く上で確認すべき必要項目が書かれていない、不明確な部分がある場合も同様に危険といえます。
問い合わせても明らかにならない場合、納得できる回答がない場合は内定辞退も可能ですので、慎重に確認・検討してください。
やばい会社に入社してしまった場合は?
求人の確認から応募、内定に至るまでしっかり確認してもなお気づかずにブラック企業に入社してしまう場合もあります。
入社した後にブラック企業であることに気づいた場合、すみやかに転職活動を行うべきでしょう。
ブラック企業に長く在籍していることによって、転職の機会が失われる、無理な働き方をすることで体を壊してしまうことになるからです。
対処法としては、速やかに次の転職先を探すことが挙げられます。
ハローワークや転職サイトをチェックする方法もありますが、エージェントや転職オファーがあるサイトを活用するなど方法があるのです。
自ら動き出し、ブラック企業から抜け出す方法を模索すること、次の転職先を探すために使える手段をフル活用することがポイントといえます。
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- ブラック企業に入社しないために、求人票、面接時、内定を得た場合は内定承諾書を提出する前に必要事項や見るべきポイントを確認するべき
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ブラック企業は生活や仕事を守ることを考えておらず、労働者を駒としか見ていないともいえます。
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万が一ブラック企業に入社してしまった場合は、1日でも早く退職し本当に働きやすい職場に転職するべきでしょう。