「零細企業で働くことが推奨されていない」という言葉は、一般的によく耳にします。
では、その理由は何でしょうか?この記事では、零細企業で働くことのデメリットやリスク、逆に向いている人やメリットについてや下記の項目について解説します。
零細企業(小さい会社)で働くことのデメリット
零細企業や小さい会社で働くことには、大きな会社とは違ったデメリットが存在します。
その中でも、福利厚生の面やキャリアアップの機会が少ないこと、社員数が少ないために業務負荷が増えること、業績悪化時のリスクが高いことなどが挙げられます。
この記事では、零細企業・小さい会社で働くことのデメリットについて詳しく解説するので参考にしてみてください。
- 残業代が出ない
- 休日数が少ない傾向にある
- 福利厚生がまったくないor充実していない
- コンプラが遵守されていない
- 社長のワンマンになるケースが多い
- 給与が低い
- やりがい搾取な可能性が高い
残業手当が出ない
零細企業では、残業手当が支払われないことが多いとされています。
これは、経営資源が限られており、人件費削減が重要視されるためです。
また、企業体制が整っておらず、勤務時間管理が不十分なケースも考えられます。
しかし、適切な残業手当の支払いは従業員のモチベーション維持や法令順守の観点から重要であり、企業もその対応を見直すべきです。
休日数が少ない傾向にある
零細企業では、慢性的な人員不足によって土日祝日に出勤する可能性が高い場合があります。繁忙期には仕事が増えるため、休日出勤が必要になることもあるでしょう。
また、厚生労働省が公表している「平成29年就労条件総合調査」によると、従業員が1,000人を超えるいわゆる大企業では平均年間休日の総数が約118日あります。
それに対し、30~99人の規模である企業は108日と、大企業に比べ約10日間休日数が少なくなる傾向にあるのです。
ですので、就職前に業界や職種における休日出勤の実態を把握し、自身の働き方に合った選択をすることが重要です。
また、休日出勤がある場合でも、適切な手当や代休制度が整っているか確認するようにしましょう。
福利厚生がまったくないor充実していない
休日数が少ない傾向にあるうえ、福利厚生がまったくない、または充実していない零細企業も存在します。
企業体制が整っていないため、社会保険や雇用保険がないケースだけでなくさらに、育休制度や家賃補助など、福利厚生の充実度も低い傾向にあります。
このような零細企業では、労働者の福利厚生や働きやすさが犠牲になることがあるため、転職を考える際には注意が必要です。
コンプラが遵守されていない
「コンプラ遵守が不十分」な零細企業や小規模企業では、大企業に比べてコンプラ意識が低く、トラブル発生のリスクが高いです。
法律順守意識が欠け、適切な体制が整っていないため、トラブル対処に外部専門家を頼るケースも多々あります。
このような状況は法違反の可能性が高く、リスクを抱えたビジネス展開となりがちです。
社長のワンマンになるケースが多い
「社長のワンマンになるケースが多い」という問題があります。
社長の独断や専横で、従業員が給与アップや過重な残業を強いられる場合があるので要注意です。
さらに、採用時に説明されていない業務を従業員に負担させることもあります。
特に評価制度も整っておらず、不確定な出来高制である場合も多いため、給与面・労働面においても不安は残るでしょう。
このような問題は、企業の経営体制が不十分であることに起因する可能性が高いです。
ですので、零細企業に就職する際は、具体的な業務内容や労働時間、評価制度など細かく確認しておくことでリスクを抑えられます。
給与が低い
零細企業は、企業体制が整っていないことや利益の安定性がないため給与が低い傾向にあります。
また、ボーナス・福利厚生がない会社も多いので、転職前よりも給与が下がってしまう可能性も高いです。
評価制度も整っていないケースが多いので、積極的にアピールをしないと昇給も期待できません。
このため、消極的な人には向かない環境である場合が多いです。
自ら行動を起こすことが求められるため、自己モチベーションが高く、能動的に行動できる人が適しています。
やりがい搾取な可能性が高い
一部の企業では、やりがい搾取の可能性が高いと言われています。
給与水準が低く、昇給も見込めず、業務範囲も広く負担が大きいため、消極的な人には適していないでしょう。
加えて、身につくスキルも広く浅くなので、業種や業界で必要とされる深い知識や経験が得られない可能性もあります。
そのため将来の転職に役立たず、不利な状況に陥る可能性も高いです。
零細企業(小さい会社)で働くことのメリットと将来性
零細企業・小さい会社で働くことのリスクはありますが、零細企業・小さい会社でしか得られないメリットや将来性が期待できる側面もあるので紹介します。
結論ではありますが、昇給や昇進などは自分次第で変えられる可能性が高いです。
- 裁量権が大きい仕事ができる
- 昇進・昇給しやすい
- 色々な仕事を経験できる
裁量権が大きい仕事ができる
零細企業では、自分に十分な裁量権がある仕事を担当することが多いです。
大企業では、与えられた役割を淡々とこなすことが多く、臨機応変かつスムーズに業務をこなす能力が求められています。
もちろん予算感が大きい仕事できることは、普通の会社では得られない経験をできることでもあるので、メリットは大きいです。
一方で零細企業の場合、自分の役割の幅が広くなるため次第に裁量も増えていきます。
自分がプロジェクトの責任者となり周囲を動かすことが多くなるため、自分のやりたいように仕事を進めることが可能です。
自分の決定権が大きい分、失敗した際の責任も大きいですが、自分の実績として分かりやすく残すことができるので、キャリアップもしやすい環境と言えます。
昇進・昇給しやすい
会社の規模が小さいと、自分が直接持ち込んだ利益がそのまま給与に反映されることが多いため、昇給や昇進がしやすい可能性が高いと言えるでしょう。
また何か事業が成功した場合には、自分にも大きな見返りが期待できることもあります。
ただし、会社全体の規模が小さいことから、仕事の利益率もそこまで良くないケースは多いため、将来性については慎重に判断することが大切です。
インパクトのある企画を生み出すか、強かな戦略のもと事業を成長させていくか、自分次第なところもあるためやりがいはあると思います。
色々な仕事を経験できる
小さな会社で働くメリットとして、様々な業種・業界の経験ができる点が挙げられます。
人手不足のため自分が経験したことのない業務にも挑戦することができ、多角的なスキルを身につけることができるでしょう。
また、大きな会社では経験することのできない裏方や実務経験を積むことも可能です。
ただし、担当業務が多岐にわたり、深く特化することが難しいため、キャリアアップには向かない場合もあるかもしれません。
零細企業(小さい会社)に入社するリスクや後悔するケース
零細企業に入社することは、将来的にリスクを伴うこともあります。
そこで、零細企業に入社する前にリスクを知っておくことが大切です。以下では、零細企業に入社する際のリスクについて解説します。
- ブラック企業の可能性が高い
- パワハラへの意識が低い
- 理不尽なノルマを課せられる
ブラック企業の可能性が高い
零細企業への入社は、ブラック企業に遭遇する可能性が高いため注意が必要です。
過度な残業があり、労働法に違反して残業代が支払われないことが多く見られるので、労働環境について事前に充分な調査を行う必要があります。
また、給与が低く待遇が悪いケースもありますので、将来のキャリアアップや生活設計にも影響を及ぼす可能性も高いです。
事業に対する成果については自分次第な部分はありますが、労働環境や福利厚生などは会社次第となるので、仕事内容よりも労働環境を入念にチェックしておくのが良いでしょう。
パワハラへの意識が低い
零細企業では制度が整っていないため、パワハラに対する予防や解決のための取り組みが行われていないことが多く、社員がパワハラに遭った際に逃げ場がないことがあります。
また部署という概念がないため、上司がパワハラをしている場合には、他の部署に移動することもできません。
さらに、零細企業では社長自身がパワハラを行っている場合もあり、社員が被害に遭うリスクが高いといえます。
理不尽なノルマを課せられる
小規模な零細企業は、利益を確保するために厳しいノルマが設けられることがあります。
このことから業務を維持するため、残業が常態化したり業務量の割には報酬が少なかったり、手当が無いなど適切な評価が受けられないこともあります。
このような零細企業の働き方は、ストレスや過労などの問題を引き起こすことがあるため、入社前にはリスクをしっかりと見極める必要があります。
零細企業(小さい会社)に向いている人・向いていない人
零細企業には、やりがいや成長機会が多い一方で、過酷な労働環境やブラック企業化のリスクもあるため、入社前に向いているかどうかの判断が重要です。
自己管理能力や向上心があり、柔軟な発想力がある人は適していますが、一方で安定志向やルーティンワークが苦手な人や、プライベートを重視する人には向かないかもしれません。
この章では具体的に向いている人、向いていない人について説明します。
零細企業(小さい会社)に向いている人
- 業界のスキルを身に付けて転職する
- 裁量権がある仕事をしたい
零細企業に向いている人として、自分のスキルを活かし、裁量権が大きく自由な働き方ができることを望む人や、幅広い業界の経験を積みたい人が挙げられます。
また、年収や裁量が効く仕事を求めて、あえて零細企業に入社する人もいます。
一方で、組織が整備されていないため、仕事の不安定性やブラック企業化のリスクもあるため、向いていない人もいます。
自分に合った働き方を見つけるためには、事前に情報収集が必要です。
零細企業(小さい会社)に向いていない人
- 責任感が大きい仕事をしたくない
- 転職する気はない
- ホワイト企業で働きたい
- 福利厚生が整っている企業で働きたい
零細企業(小さい会社)に向いていない人は、転職する気がなく、一社で働き続けたいという方です。
大企業のように有給制度・昇給制度・退職金制度など労働に関する制度が整っていない場合もあるため、将来のライフプランによっては避けた方が良い人もいます。
特にまだ独身でこれから家庭を築こうとしている人にとって、福利厚生が整っていない零細企業に入社するのはリスクが大きいです。
零細企業の場合、ホワイト企業の可能性は低くブラックの可能性が高いため、労働環境に不安がある場合は、入社を慎重に検討する必要があります。
零細企業(小さい会社)を避けて転職する方法
- 口コミで事前に企業の評判を調べておく
- 転職エージェントを利用する
転職先を探している人で、零細企業を避けたい人に向けて、転職時に気を付けておくポイントを紹介します。
零細企業のデメリットやリスクを踏まえて、転職先を選びたいのであれば、転職会議などの口コミサイトで事前に企業の評判を調べておくのが良いでしょう。
他にも、業界や職種に精通している転職エージェントの活用もおすすめです。
転職エージェントは求職者に代わって、転職先の企業の情報収集や面接のセッティング、交渉などを手助けしてくれます。
また、自分の経歴やスキルに合った求人情報を紹介してくれるので、転職活動の効率化にもつながります。
まだ転職エージェントを利用したことがない人はこちらの「転職サイトのおすすめランキングまとめ」でどんな転職エージェントがあるのかをチェックしてみましょう。
また、すでに零細企業に勤めており磨いたスキルや役職を活かしたい方は「『ビズリーチ』の評判は? おすすめの使い方や審査が落ちてしまう原因についても解説」からキャリアアップを狙うことをおすすめします。
零細企業がやめとけと言われる理由まとめ
- 零細企業に向いている人もいる
- 安定や福利厚生を重視したい方には向いていない
- 零細企業を避ける方法もある
- 零細企業のメリットとデメリットを把握することが大切
零細企業は、向いている人・向いていない人できっぱり分かれると思います。
将来性についても、裁量権が大きい仕事をしたい人にとっては零細企業は適していますし、労働環境が整っている会社であれば、十分長く働き続けることもできるでしょう。
しかし、中にはブラック企業と言われているところもあるのも事実です。
そのような会社を避けるためには、口コミサイトを確認したり、転職エージェントに相談するのがベストだと思います。
重要なのは、自分に合った選択肢を見つけることですので、自身の価値観やライフスタイルに合わせて、転職先を選択するようにしましょう。